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影響を与えるか、関心のあった点であるが、実際に測定した結果から物質の性状にもよるが、粒度構成並びに粗粒が共存するか否かにより、流動水分値(FMP)の測定に影響を及ぼしていることが明白となった。
 上記に関しては当初より予測されたことであり、珪酸鉄、ニッケルスラグ、カッパースラグの様に粉末が少なく、粒径1mm(16mesh)以上が70〜80%占める粒状の物質である場合には、水分を保持し難い性状であることが起因し、液状化現象が発生し難い物質であると考える。粒径の粗い物質の場合、流動水分値測定の際に水分が少ないと、十分な静的圧密ができず、また、一定量以上の水分を含むと微粉精鉱とは異なる状態ではあるが、ある程度の締め固めが可能となる。
 珪酸鉄、ニッケルスラグでは、試料を加振すると試料は搖動し若干ではあるが回転も見受けられ、ビットの貫入はある程度まで進むが、水分を増加させても50mm以上貫入することなかった。試料は水分を保持しきれなくなり、容器の底に水が溜まり、測定不能のケースも生じている。この様なことから、珪酸鉄、ニッケルスラグの様な性状で粒径が粗い場合には、液状化現象が生じる可能性は非常に少ないと考えられる。珪酸鉄(A)の様に一部測定結果が得られたケースもあるが、このときの測定終了時の試料容器内の水分は、層内全体が均一ではなく層別に水分量を測定すると上、中、下層それぞれが異なり、下層の水分量が多い。一方、カッパースラグの場合は、珪酸鉄等と同様に水分が少ないと十分な締め固めができず、一定量以上の水分を含むとある程度の締め固めが可能となるが、貫入ビットは何れも50mm以上貫入するため、液状化の判定を行なうことが非常に難かしいので、判定方法に一考を要する。しかし、水分が一定量以上になると珪酸鉄と同様に測定終了時には容器内の下層の試料は水分値が高くなっている。
 また、重晶石、蛍石、石炭、コークブリーズ(粉コークス)等については、粗粒を含むか否か及び粗粒の混入度合いにより測定値が異なる。粗粒が多い場合は流動水分値は低い値を示しており、粒度分布が流動水分値の測定結果に影響を及ぼすことが明らかになった。

 

3.2.5. まとめ
 試験結果から言えることは、鉄鉱石、レッドドロス、石膏等の微粉精鉱及び粉状の物質並びに粉コークス、石炭、粉鉄鉱等粗粒が共存する物質では、液状化現象が見受けられ、運送許容水分値の測定が可能であった。一方、スラグでは、性状及び粒度の関係から、何れも液状化現象は発生していない。但し、ビット貫入量が50mmを超える物質もある。
 珪酸鉄は、有姿試料では運送許容水分値が測定できたが、ニッケルスラグでは測定できなかった。また、これらの物質を用いて、粒径を1 mm 以上に調製した試料では何れも測定不能であったのに対し、粒径を 1 mm 以下に調製した試料及び粉砕した試料では、運送許容水分値を測定できた。特に粉砕した試料で、粒径0.25 mm 以下が85 % を占めた場合には、明確な液状化現象が観察できた。

 

 

 

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